本紹介 ベーシック・インカム入門-無条件給付の基本所得を考える

入門書というのは妥当なタイトルで、ベーシックインカムを全く知らない人にはあまりお勧めできません(ベーシックインカムについて検索したものを読んでからのほうがいい)
本書は、ベーシックインカムに興味があるが参考資料がわからない人には資料として、ベーシックインカムについての疑問や歴史について知りたい人にはたたき台として、ベーシックインカムを非難する人への反論や回答のテキストとしてお勧めです。

内容ですが、6章ほどに分かれていて、読者が興味のある章から読んでもかまわない作りです。
現代の日本のセーフティネット(生活保護メインに)、ベーシックインカムにいたる運動の歴史、経済学者の思考、現在のベーシックインカムへの活動、ベーシックインカムのFAQなど

その中で自分が最も衝撃を受けたのは日本の生活保護の貧困さです。
全世帯の10%が生活保護に該当しそうなのに、実際に生活保護を受けているのはそのうち20%。
生活保護をうける基準の家庭が10件あったとして、実際に生活保護を受けているのは2件なのです。他国では50%(10件受ける基準なら5件)以上あるのに…これは少数派であるため世論からもマスコミからもいじめられている結果だと思うのですが…

他、ベーシックインカムの歴史について多くのページがさかれ、運動がシングルマザーから出てきたこと(まだ著作者の研究結果であり認められているわけではないようですが)経済学者の中で有名な人、フリードマンやガルブレイズが(負の所得税として)いたことなど勇気付けられます。

本書は新書でありながら本屋では殆ど見ません(4件ほど回ったのに見つけられませんでした)ので、注文して入手するしかないと思います。立ち読みしてからの購入は難しい(本が見当たらないからw)ですが、ベーシックインカムについて知りたいなら値段的にも(840円+税)コンパクトにまとまった内容からも、実行する場合の財源や労働意欲がどうなるかの答えも載っていてお勧めです。